今や寂れし人工島 黒衣の少女が夜歩き
槍のごとき刃物を振るう 道行く者を
斬首に処すと・・・・・・
総合 |
シナリオ |
キャラ |
絵 |
音楽 |
エロ |
主人公 |
ゲーム性 |
NO.1キャラ |
84 |
9 |
7 |
8 |
9 |
4 |
8 |
― |
秋月暮葉 |
シナリオ 9
サスペンス系はレビューでのネタバレの境が難しくって困ります。普通の萌えゲーならネタバレ完全なしでもそれなりに語れるけど、サスペンス系はきついなぁ・・・。なるべくネタバレはしない方向で行きます。
まず簡単に説明すると、このゲームは全3章からなっています。1章が2人の主人公が各ヒロインを攻略していくもの。それぞれ攻略できるヒロインは決まっています。次に2章がこのゲームの真の主人公と、犯人のそれぞれの事件に至る歩みを1章では明かされなかった部分を踏まえて追っていくもの。そして3章は2章の主人公を軸に1章の舞台を体験します。
1章は槙野慶吾と三沢信哉の2人の主人公が事件をそれぞれ別の角度から見たものになっていて、槙野慶吾が暮葉(もみじ)と麻咲ルート、三沢信哉が真帆子と詩菜ルートの担当です。基本的に主人公達は最初と最後を除いて交わることが無く、起こる事件はそれぞれ単独のように感じてしまうのは惜しいですね。たとえばもみじのアイスのような小さなことでもいいので、2人の主人公のシンクロ場面が欲しかったです。
また、各シナリオは一部を除いて完全にリンクしており、その部分は年表に補完されます。この部分は面白かったですね。たとえば最終日に暮葉と犯人が対峙するのは決まっており、その他もみじが誘拐されそうになる日、真帆子が誘拐される日など年表に書かれていることはどのシナリオでも必ず起きている事になります。このように事件の全体を見ると各キャラが様々な思惑で動いているのですが、プレイ中にそれぞれ単独で見ると、驚くくらいに他のキャラが空気化しているんは残念。慶吾側だと特にそれが顕著で、真帆子と詩菜とは全くといっていいくらい出てきません。
萌えイベントはほとんど無いのですが、サイドビューによってヒロインの過去や心情がよくでてくるので、キャラをつかむのには苦労しません。EDはどれもBAD風味で後味がイマイチ悪い感じで終わりますが、ここらへんは3章でちゃんと補完されます。1週目は意味が分からないことが多くてイマイチな感じを受けますが、2週目、3週目と繰り返すことによって様々な事実が分かり、だんだん面白くなっていきました。
最初はホラー風味ですが、それは最初だけで後は事件の謎を追うサスペンス風味、ただそれも犯人代わりとあっさり自供しちゃったりするので、最終的にはある男の人生を描いたゲームと言うのが一番ふさわしいと思われます。
そして2章は3章のプロローグといった感じになっていて、事件の核である反魂の法や暮葉の謎、犯人の動機、そして1章ではほとんど出番のなかったある重要キャラの背景について触れます。いわゆる過去編ですね。
3章はまさにこれまでの集大成といってもいいもので、基本は1章の事件ですが所々が違っています。たとえばもみじが誘拐されそうになたのを助けたのは暮葉ルートでは暮葉が、麻咲ルートでは麻咲になっていますが、ここでは2人が助けたことになっています。すでに事件の全容を分かっているところに、2章の主人公達のその時々の心情を埋める形で進んでいくので、これまでと比べてかなり読みやすく、すんなりと入っていくことが出来ます。
ラストは感動の大団円になっていて、特に最後の反魂樹の燃える場面は久しぶりに涙してしまいました。
伏線もきちんと回収されますし、よく出来ている構成になっていると思います。
こういった伝奇物をプレイしたことがほとんど無いので、よくできているかはイマイチわからないんですが、自分はかなり楽しめました。最初は微妙な感じで進むので一時中断してしまったりもしましたが、それを超えるとどんどん夢中になれました。最後のTrueEndがかなり綺麗で感動的に終わっているのがすごく良かったです。終わりよければ全てよし!!
サスペンス部分の謎は簡単に解けるので、事件の中で渦巻く各々のキャラの心情を楽しむゲームです。
キャラ 7
ぶっちゃけキャラ萌え部分はかなり少ないのであまり語れることは無いです。一言感想。
シナリオ欄よりややネタバレ増しになっています。
秋月暮葉
初っ端のインパクト(OP直前)は強かったですが、それ以降は結構普通の人? 彼女は3章のヒロインであって1章は暮葉ENDとうよりはもみじENDと言った方が良いです。いくつか萌えイベントもありましたが、TrueEndのラストで吹き飛びましたね。しつこいようですが、TrueEndのラストはかなり感動させられました。
吉森麻咲
一回りは年の違う慶吾に猛烈アタックする姿が健気でいい感じです。ただ彼女のルートは麻咲よりは慶吾の亡き妻紅葉の方が萌えました。回想シーンのみの登場ですが、かなりの萌えキャラでしたね。結構な頻度で登場するのがまた・・・。彼女のルートは他のヒロインと比べると微妙に本筋から外れている感じはしますが、ラストは一番グッドエンド風味です。とにかく麻咲の健気な猛烈アタックに注目、たぶんキャラ的に一番萌えられると思います。
羽鳥真帆子
ポンコツ?担当。別にポンコツってるわけでもないんですが、しゃべり方やポジション的にどうしてもそんな風に感じてしまいます。萌えキャラ風味ですが、シナリオ展開的に萌えてる暇が無いです。どのシナリオでも酷い目にあってるのに事件の真相にはあまりかかわれない可哀相な人。一番血が流れる率が高いルートです。死亡率も一番高い・・・。
春日井詩菜
ツンデレ風味。真帆子への思い入れの理由を語ってくれるのがシナリオラストの方なのでキャラをつかみにくいです。他のルートでは完全に空気な彼女ですが、自身のシナリオも他のシナリオとは違った展開を見せます(おそらく真帆子が唯一死なないルート)。中盤以降かなりグダグダでだれるんですが、ラストの展開は好みでした。完全なバッドエンドですが、「大丈夫……大丈夫……」の伏線が感動的だったのでOK。ONEとかもそうですが、こういうのに弱いんですよ。
八島碧
オカルト雑誌の記者さん。超方向音痴のドジっ娘キャラ? 実はかなり活躍(良くも悪くも)します。初プレイ時(慶吾で暮葉ルート)は余計なことしかしないので疎ましかったんですが、TrueEndまでやってみると結構好感が持てるようになりました。取材には信念を持っていていて、慶吾ルートではそれが裏目に出たりしますが、信哉ルートでは大活躍したりします。
真帆子母
登場するほとんどのキャラと何らかの関係のある、事件にはほとんど関われないものの重要なキャラです。とりあえず過去編の朋子ちゃんはかなり可愛かったです。出来れば現代での暮葉との会話シーンが欲しかったですね。
槙野もみじ
主人公の一人である槙野慶吾の一人娘。純粋に可愛いです。マジで可愛い。このゲームの萌え部分の担当。大活躍するという事はないですが、要所要所に見せ場があります。特に慶吾・暮葉ルートはほとんどもみじルートと言っていいです。子供らしい純粋な心でみんなを癒してくれます。
主人公 8
三沢信哉
事件とほとんど関わりが無い主人公その1、自分は慶吾シナリオをクリアしてから、信哉の方をプレイしたので、暮葉を恐れるがあまり真帆子を危険に追いやってしまったりする信哉の行動がアホっぽく感じてしまうところもありますが、基本的にいいやつです。多少先の見通しが悪いことを除けば(時々致命的)、ヘタレ要素もないしいい主人公しています。
槙野慶吾
事件の中心に位置する主人公その2、さすがに年の功があって信哉と比べるとかなりスペックが上です。素直に好感が持てるキャラになっていて、安心してプレイできました。娘のもみじの可愛がり方や、回想での紅葉との会話など、微笑ましいものが多いです。どのシナリオでも過去に書いた小説がかなり重要になったりする、ある意味最重要人物です。
汐見
ここまできてぶっちゃけると事件の犯人。まあ、最初っから怪しさ全開だし、公式HPでもこいつくらいしか犯人になりそうなキャラ紹介されてなかったしいいかなぁと・・・。1章ではただの狂気のシスコンですが、2章3章では主人公の一人として彼の妹への思い、そして事件の隅々で何を思って行動してきたかが分かります。とりあえず妹は可愛すぎ、これだけ可愛いブラコン妹だと人生おかしくなるのも納得できるような出来ないような・・・。
上条祐輔
真の主人公。もみじの祖父で慶吾の義父です。彼に至ってはとにかくラストまでその生き様を見守ってくれとしか言いようが無いですね。かなりカッコいいです。正直に言うとゲーム中一番好きなキャラです。
絵 8
キャラデザは文句なし、背景も綺麗です。イベント絵は要所要所にきちんと使われているので問題なし質も高いです。全体的に高レベルに出来ているんですが、これはっ!と言うほど引き付けられるものは無いです。ちなみにホラーっぽい絵はほとんどありませんので血が苦手な人でも大丈夫だと思われます。
音楽 9
まずOPの良さが目立ちますね。OP曲の「Reconquista」は開幕にふさわしい雰囲気を持った歌になっていて、聞いていてワクワクドキドキしてきます。単品で聴いても名曲ですが、ムービーと合わせて聴くとさらにすごくなっています。歌詞がゲームと合っている名曲です。ED曲「声が聴こえる〜Calling you〜」は悲しい雰囲気の歌。こちらも聴いているだけで切なくなってくる名曲です。ちなみにED曲が流れるのは3章のTrueEndの時だけで、その他のEDは音楽のみになっています。
BGMはどれもレベルが高いですが、イマイチ山場の音楽が弱かった気がします。あまり印象に残っていません。
エロ 4
実用性皆無。そもそも場面が場面ですから・・・。ほぼモブキャラの輪姦があったりしますが、基本的にみんな和姦です。
総合 84
クリア順は真帆子→詩菜→暮葉→麻咲を推奨。これは主人公に関連していて、別に信哉が悪いと言うわけではないんですが、先に慶吾をクリアして暮葉のことをある程度分かってしまうと、信哉の行動がアホに見えてしまうので・・・。
このゲームは買う前にどの部分に期待するかによって大きく評価が変わりそう(ちなみに自分はどこにも期待していなかった・・・)なので、万人にお勧めすることはできないですが、それでも自分は面白かったです。
派手さは無いですが、各キャラの心情を上手に描いた良作だと思います。
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