夏降る雪 冬鳴く蝉・・・
総合 |
シナリオ |
キャラ |
絵 |
音楽 |
エロ |
主人公 |
ゲーム性 |
NO.1キャラ |
73 |
7 |
6 |
9 |
10 |
4 |
6 |
― |
名雲紗枝 |
今回は考察中心でいきます。
シナリオ 7
不条理ADVってことですがかなり難解です。不条理なのは曲芸の売り方だーっ!!とか叫びたくなるくらいに難解です。
終わった直後の時はすげぇ駄作だったなと思ったんですが、シナリオの考察をしているうちに面白くなってきました。
物語は個別ルートまでは時々変なのが混じってますが、基本的に各ヒロイン達との交流を描いた普通の学園ものです。それなりに笑いと萌えがあるのでまあまあ楽しいです。
ヒロイン達のルートに入ると一気に変わります。急展開のオンパレードです。ヒロインごとに展開にかなり差があり、ものすごく重かったり、ほのぼのしたり、ラピュタがでてきたりと不条理ADVの意味が分かってきます。ヒロインによって全然展開が違うというのは嬉しいんですが、あまりにも違いすぎて戸惑うこと間違いなし。
基本的に全キャラクリアしないと意味がないゲームなのでココのシナリオはかなりコマ切れです。
ここからは自分の考察です。
結論から言えばこの物語は主人公が妄想の世界からなんとか抜け出そうとする、脱・ヒッキーの物語です。
主人公は幼い頃、名雲紗枝を死なせそうになってしまってから引きこもりがちになり心の病にかかります。そして自分の中での引きこもり空間―クジラのいる世界を生み出した。ここでなぜくじらなのかというと、たぶん紗枝のくじらのマスコットのためだと思われます。主人公が女形というのもそれが主人公の理想の姿だからでしょう。
また、このくじらの世界は名雲紗絵の夢ともリンクしているようですが、そこ等辺はいまいち不明です。
主人公は現在、現実世界とクジラの世界の狭間が分からないくらいダメな状態になっており、それを克服するための試験として、御影仁菜のシナリオで過去のトラウマを克服することを、榛原胡桃シナリオで自分自身を変える決意を、夢前春香でくじらの世界という都合のいい世界からの離脱を、そしてそれらの試験を越えた後に名雲さえのシナリオ、いわば最終試験を超えた時に現実へはっきりと戻ることができます。
つまり紗枝以外のヒロインと結ばれるということは、現実から目をそらし永遠に自分の妄想の世界で暮らすということを示し、紗枝以外のヒロインは全て捨て駒ということになります。実際現実世界での紗枝以外での知り合いは胡桃だけです。
シナリオは難解でしたが、その分考察するのがかなり楽しかったです。考察していくうちに色々と舞台の裏側が分かって面白かったかったし、次から次へとどんどん謎が分かっていくのはワクワクしました。
キャラ 6
シナリオ上キャラに愛着が持ちづらいです。仁菜先輩とか凄く萌えキャラなんですけど、シナリオかなり重くて素直に萌えられないし、1番好きな紗枝は実質おまけHでしか出番ないし。
くじらの少女・名雲さえ・名雲紗枝
紗枝は大好きですけど、さえは微妙でした。キャラの解説をすると、くじらの少女はくじらの世界の管理人、試験官のような存在であり、主人公が全てを越えて紗枝を思い出すことを見守る存在。さえは紗枝のことをイメージして主人公が作った存在であり、幼い頃一緒に遊んだ紗枝がベースになっています。言動が子供っぽいのはそのせいでしょう。彼女は試験の最終問題でもあり、ある意味主人公の分身とも言えます。紗枝のことを思い出し、辛い過去を胸に現実世界で生きていくのかを問いかけます。紗枝は幼い時に主人公と遊んだ少女で重い病気にかかっています。主人公のせいで病状が悪化。多分ずっと寝ていたんでしょう。また、彼女はくじらの少女を通して主人公の夢を見ているような感じがあります。
紗枝のことは大好きだったんですが、彼女のイベントはあまりにも少ない・・・。おまけHの時の彼女の仕草がとても萌えるもで、その分残念度もかなり増えます。さえのお節介に慌てる様子が可愛かったです。
御影仁菜
小さいロリキャラ。くじらの力を持ち空を少しだが飛べる能力があるせいで、長年虐待をうけ、人体実験をされ、さらにはレイプまでされてしまうかわいそうな少女。まあ、主人公の妄想の中での話しなんですが・・・。実際の彼女はロリキャラではなくちゃんと成長している眼鏡をかけた文学少女です。悲惨な過去は主人公の過去が関係しているのかもしれません。ロリキャラなのは主人公の趣味か? 多くの萌えイベントがあり、実際ロリキャラである先輩に萌えまくりだったんですけど、シナリオの後半があまりにも重すぎて素直に萌えられませんでした。
榛原胡桃
明るい性格の人気者。社交的な性格です。現実世界でも主人公と仲良くやっています。
シナリオ後半がかなり変です。いきなり自分はオタクだといい性格が変わります。ここから主人公がオタクだということが分かり、仁菜先輩での悪巧みしている集団も、主人公がそういう展開が好きだからということが分かります。
終盤はまさにSF全開。あばれだしたくじらを止めるためにくじらの内部に入り、世界崩壊だ何だという話になり、ムスカっぽいやつを倒すというラピュタソックリの話になります。多分主人公がラピュタを好きだったんでしょう。
正直展開が急すぎてキャラとかどうでも良くなりました。元々どうでも良かったというのもありますけど・・・。
夢前春香
妙な言動が目立つ妹。独特な春香節は気に入りました。萌えイベントも結構あった。現実世界での彼女は存在しません。そしてくじらの世界での彼女は紗枝の代わりとして生まれた存在です。妹なのは主人公が紗枝に身近にいて欲しいからかな? 後半から紗枝が言っていた「睦っちゃん」と主人公のことを呼び出したことから間違いないでしょう。
彼女のシナリオは紗枝のことを忘れてずっと春香と共にくじらの世界で過ごすというある意味救いようが無い結末であり、その結果役目が無くなったくじらの少女は消えてしまいます。くじらの少女が消える劇でのシーンは演出がうまかったこともあってちょっと感動してしまいました。紗枝が好きな自分としては紗枝がかわいそうで劇の中で別れを告げるくじらの少女が切な過ぎてたまりませんでした。
茂木美佳・優佳
明るく活発でスポーツが得意な美佳先輩と、おっとりとしていて上品な成績優秀な優佳先輩、でも実際には美佳先輩しかいません。さらにその現実世界での美佳先輩は性格はあまり変わらなそうですが、スポーツ万能、成績優秀と完璧になっています。
なんでくじらの世界では2人分かれているかというと、たぶん現実世界であこがれていた美佳先輩は完璧すぎて、自分と付き合うことが絶対に不可能と自覚していた主人公が2人に分け、それぞれに長所と短所を作ったためだと思います。優佳先輩の人格は、主人公がオタクゆえに成績優秀=しっかり者みたいなイメージがあったために形成されたと考えられます。
シナリオは完全にくじらを無視しています。確実に数合わせキャラです。どうでもいいキャラ。
神楽香倶耶
隠しキャラです。詳しく語ると頭が痛くなりそうなので割愛します。
このキャラのシナリオは完全におまけです。くじら関係無いどころじゃありません。
彼女のシナリオも人を選びそうでしたが、自分は結構面白かったと思いますよ。メチャクチャで。
主人公 久遠寺睦 6
シナリオによって結構キャラが変わるんで評価が付けづらいです。くじらの世界では女形として大活躍!女の子にもモテモテの存在ですけど、実際はヒッキーで、オタクで、ロリコンで、かなりダメな人間です。
絵 9
キャラデザがかなり好みです。原画が数人いますが全然気になりません。キャラデザや立ち絵はいいんですが、イベント絵はいまいち。質自体は悪くないんですけど、とにかく数が少ない。シナリオが結構長いのに全然無いです。背景はかなり綺麗ですね。レベル高いです。
そして素晴らしいのがムービー。神の出来です。歌と凄くマッチしていますし、絵も綺麗、構成もうまいですし、とにかく素晴らしい。今までに見たムービーの中でも1、2を争う出来です。
音楽 10
かなり多いです。音楽とかは曲芸は力入れますからね〜。
作品自体に幻想的な雰囲気が多いので、曲もその雰囲気にあったものが多いです。
BGM自体はそこそこ高いぐらいのレベルなんですが、OP曲、ED曲、挿入歌はどれも素晴らしい出来となっています。数もかなりありますしね。
特にOP曲である「ディアノイア」と挿入歌「モンタージュ」は神レベルといってもいいくらいに良い歌です。素晴らしい。とんでもない良さです。かなり気に入りました。
エロ 4
普通に考えるとオマケの紗枝以外は主人公が知り合いの女の子と妄想でHしているだけなんですよね〜。まあ、自分にもそういうことたまにありますが・・・。内容ははっきり言って薄いです。とてつもなく薄いです。前戯はほとんどないし、CGも全然使われていません。尺も無いですし、いいとこなしです。
総合 73
評価を付けづらいゲームですね。
ある人にとっては駄作、ある人にとっては凡作、でも良作という人はいないでしょうね。
まあ、楽しめましたよ。1度クリアしたら2度目のプレイを確実にしない類のゲームですけど。
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