豹変する現実世界「赤い夜」
その愛が、運命を変える
総合 |
シナリオ |
キャラ |
絵 |
音楽 |
エロ |
主人公 |
ゲーム性 |
NO.1キャラ |
83 |
8 |
8 |
9 |
9 |
6 |
8 |
― |
草壁美鈴 |
シナリオ 8
シリアス系、化け物ばかりの赤い夜にまきこまれて戦う話。前半はホラーサスペンス、中盤以降はファンタジーアクション系になってます。最初は主人公はヘタレてるし、幼馴染はウザいし、日常会話はつまらないしと微妙な感じなんですが、美鈴先輩が仲間になって、菊理先輩・雪子が仲間になって、そして賢久が仲間になるにつれて、どんどん面白くなっていきます。特に賢久の存在はでかいです。こういう燃え系にはすぐれた男脇役の存在は不可欠ですからねぇ。
ただ、赤い夜では仲間が多くなって戦闘が激化するにつれて主人公の役立たずさが浮き彫りになっていきます。終盤まではちょっと活躍しようとでしゃばると容赦なく死にます。まあ、それでも全くの役立たずと言うわけではなく、少しずつですが異能の力を使いこなすようになって活躍できるようになるので、不満は少ないです。一戦一戦確実に成長していく描写を丁寧に描いています。さらに精神面の成長が戦闘だけではなく、日常生活でのヘタレ返上にもつながって、さらに日常会話が面白くなるのもいい感じ。最初は微妙だった主人公ですが最終的には好きになりました。
また、このゲームにはクロスビジョンモードというものがあり、他の主要キャラ視点でのイベントを見ることができます。このモードのおかげで他キャラの心理描写がよくわかり、キャラ立てや複線回収に役立っています。ゲーム中いつでも見ることができるので、シナリオが一息ついたときに自分のタイミングで見ることができるというのがいい感じです。
シナリオは95%が共通になっていて、個別イベントは期待しないほうがいいです。恋愛描写は皆無に近いですし、Hシーンは最後に取って付けたかのようにあるし・・・。幼馴染のゆか以外はほとんど刷り込みぎみで好きになっていますねぇ。主人公が悪いというわけではないんですけど、もうちょっとわかりやすくフラグが立つようなイベントが欲しかったです。。
戦闘描写は普通。CGとか演出とかすごく力が入ってますし、多対1が多いのも燃えていいのですが、テキストはいまいち、主人公が終盤近くまで活躍できないって言うのもあり、退屈と感じてしまう場面がいくつかありました。美鈴先輩の必殺技の場面とか盛り上がるところは盛り上がるんですけどねぇ・・・。ただ、最終決戦手前の挿入歌が流れた戦闘シーンはかなり燃えて感動できてよかったです。このゲーム屈指の盛り上がりどころであり、名場面でした。泣けます。
ただ、後半はだんだん失速していきます。一気に赤い夜の世界の謎が解け、最終決戦までまっしぐら、最終決戦も結果的に強くなりすぎた主人公のせいで真ボスを瞬殺。さらにエピローグは意味不明なご都合主義ENDと、非常に残念な結果になっています。あのエピローグはないなぁ・・・。とってつけたかのようなHシーンがまた・・・。一応菊理をプレイすればエピローグの意味不明な部分はわかるんですが、それが打ち切りというよりはブツ切りって感じで・・・。それまでが面白かっただけあってかなりの失望感にさらされました。急展開なのはスピード感があってよかったけど、最後がなぁ・・・。
まあ、それでも終盤まで気の抜けない先が読めない展開が続いてドキドキできましたし、1週目は二転三転する展開に最後まで夢中になってプレイできました。日常会話からいきなり赤い夜に突入するのは普通にビビります。エピローグの無理矢理っぽいグッドエンド展開は残念でしたが、複線回収もうまくいっていましたし、クロスビジョンモードとかかなり力が入っていましたし、笑って泣いて燃えられるよくできたシナリオになっていました。
キャラ 8
水奈瀬ゆか
幼馴染。その主人公への依存っぷりと変な口癖のせいで、賛否両極端になりそうです。自分は超ウザかった。主人公に遊びに誘われただけで、喜びのあまり公衆の面前で大泣きするとか・・・怒りで言葉が出ません。物語が進めば進むほど成長していく主人公と比べて、全く成長しないでいつまでも主人公にまとわり続けます。いつまでも役立たずですし、その上足引っ張るし、正直マジでウザかったです。終盤の病みっぷりは突き抜けすぎて面白かったですけどね。パッケージとか明らかにメインヒロインっぽい感じですが、実際は戦闘では役立たず、黒騎士との関わり皆無、最終決戦不参加とかなり扱い悪いです。唯一の伏線っぽかった孤児院の事件も伏線とも言えないようなオチでしたし・・・。
草壁美鈴
かっこよくて凛々しい先輩。色々なことを知っているし、戦闘でも一番強く見せ場も多いです。刀召喚の言葉や構えているシーンはどれもかっこよすぎで感動もの。ポニーテールなのもポイント高いです。日常でも世間知らずで天然だったり、Hな話には真っ赤になったりと、普段の凛々しい姿とは違う、時々見せる女の子っぽい顔がすごく可愛く見えます。あのウェイトレス姿はホントたまりませんでした。想像していたよりも何倍も可愛かったです。照れまくる様子がホントもう・・・。終盤は強さの中にある弱さが浮き彫りになり、一時戦意喪失してしまいますが、それを乗り越えての最終決戦は興奮しました。乗り越えきれなかった場合のバッドエンドも印象的、終盤になってキャラの良さに拍車がかかりましたね。
橘菊理
主人公の死んだ姉にそっくりな先輩。話すことができないのでいつもスケッチブックを持ち歩いています。何かONEの澪を思い出すキャラですね。スケッチブックに字を書いて、見せて、笑ったり照れたりするという一連の流れがきちんと絵で表現されているのは印象的。いつもほんわかムードの先輩は可愛いのはもちろんのこと、何だか見てるだけで癒されます。意外とノリがいいのもいい感じです。「駆くんも男の子ですからね」がツボに入りました。戦闘では貴重な回復役、さらに攻守両方に使える武器持ちの便利キャラ。アブラクサスの派手さに反して戦闘では地味な活躍が多いですが、回復面では大活躍します。実はメインヒロインで菊理先輩の謎が最後の謎になっているんですが、ちょっと強引過ぎる結末と意外と単純だった正体は残念としか言いようがなかったです。話せてしまうと並のキャラになってしまうのは・・・。
広原雪子
ハイテンション系お騒がせ娘。ヒロインとしてみると微妙ですが、サブキャラとしてみると貴重なハイテンション要因として大活躍。ただし照れて真っ赤になる様子や、泣き顔はとんでもなく可愛かったりします。美鈴先輩もそうですが、ギャップ萌えっていうのはいいものです。メガネっ娘ですが、メガネを取ると人格が変わり、戦闘では特殊な決め技がないのでいまいち地味な感じもしますが、美鈴先輩と並ぶ主力としてみんなの先陣を切って戦います。雪子の一番の見せ場は中盤〜終盤の挿入歌が流れる場面ですね。本人のルート以外を選ぶと賢久と付き合うようになるんですが、この2人があまりにもお似合いで、しかも賢久がめちゃくちゃいい奴なので、最初に本人以外のルートをやると攻略する気がなくなること間違いなし、正直雪子は賢久と完全にくっつけて栞を攻略対象にして欲しかったと強く望みます。
百野栞
なぜかヒロインでは無いキャラ。まあ、他のヒロインたちもエピローグ前までは同じような扱いなんで残念度は低いですけどね。ロリっ子無表情キャラ。最初は人を遠ざけていましたが、徐々にうちとけるようになります。時々見せる照れた表情が可愛いです。終盤まで出番が少ないんですが、終盤では大活躍。ただこれだけ活躍するならもっと序盤から存在感をアピールしといてくれと言いたくなります。Hシーンが一番エロかったことが印象に残ってたりするキャラです。
田島賢久
最高のサブキャラ。賢久が出てきてからゲームの面白さが上がりまくり、やっぱりこういう燃え系には熱いバカがいないとなぁということを再認識させられました。主人公はおとなし目のキャラですし、もんちっちは下だけのウザきゃらだっただけに、テンションの高さがかありがたかったです。美鈴先輩のパンチラシーンを作った勇姿には拍手を送りたい!! 一方戦闘では派手だけど戦力としては微妙。ただ、某必殺技は色々とすごかったです。雪子に惚れていて、一連の告白シーンの後の悲劇にはひたすら感動させられました。ホント賢久と雪子はお似合いすぎるカップルです。
赤嶺彩子
変な先生。保健室の主はエロいのが標準か? こういう人は普段はだらしなくても、いざという時はしっかりしているものなんですが、主人公の前では終始だらしないままだったり・・・。OPムービーで刀で刺されている場面があるのは壮絶すぎるネタばれなんでやめて欲しかったところですね。まあ、あれで購入意欲が高まったのも事実ですけど・・・。
リゼット・ヴェルトール
白リゼは性格が地味で印象に残りにくいんですが、黒リゼになるとS要素+恋する乙女要素ですごく個性的になります。性格とか姿が激しくどこかで見たことがあるような感じなのは突っ込みきれないのでスル―させてもらいます。完全では無かったとはいえ、ものすごく強いはずなのにかなりしょぼい活躍しかできなかったのは残念です。
主人公 皐月駆 8
シナリオの欄でも書きましたが、最初はヘタレていてこの主人公大丈夫なんだろうかと心配でしたが、物語が進むに連れて心身ともにどんどん成長していく姿には好感が持てました。ちょっとゆかを大切にしすぎたり、成長しすぎて最終決戦が呆気なすぎたりと残念な部分もありますが、こちらの心配をよそにきちんと成長してくれるありがたい主人公でした。
絵 9
とにかく動くのが印象的です。戦闘シーンだけでなく、日常シーンも結構動きます。細かい部分がちょくちょく動いているのがいいですね。目や口に加え、腕とか菊理先輩のスケッチブックとかなかなか力が入っています。キャラデザもゆかとか雪子とかちょっと細すぎるのは気になりましたが、みんな可愛くて問題なし。イベント絵や背景も細かい部分までしっかりと書かれています。ただ、イベント絵に関しては戦闘シーンの絵が少なかったのは残念でしたね。主人公にはそこそこあるものの、主力の美鈴先輩や雪子にはほとんど同じ絵の差分だったりするのは寂しいです。特に美鈴先輩は武器は多いし、技も豊富なのにほとんど同じ絵ばかりなのは気になりました。決め技ぐらい派手な絵で飾って欲しかったです。
ムービーもテンポのいい歌と合わせていい感じなんですが、ネタばれ要素が多すぎるのはマイナスですね。
音楽 9
かなりレベル高いです。BGMはどれも場面にあったものばかりですし、聞いてるだけで興奮してくる曲も多いです。「僕たちの一番大切な、時間」や「欠けた想いを胸に抱いたまま」がお気に入り。他にもいい曲ばかりです。歌はOP曲の「Lunatic Tears」は爽快感あふれるテンポのいい歌。歌詞がこのゲームの雰囲気をよく表している名曲です。挿入歌の「忘却の歌」は流れる場面が感動的でよく印象に残っています。ED曲の「穢れ亡き夢」は歌自体は名曲といえるくらいいい歌なんですが、EDが流れる場面がちょっといきなりだったのが残念でした。
エロ 6
回想を見ると結構ありそうですが、一つのシーンを分断して登録していたりして実質回数は1〜2回です。質と尺はシナリオ系としてはまあまあいい方ですかね。栞のHシーンとかエロかったです。ただやっぱりエピローグ以外にも欲しかったですね。普通は最終決戦前にあるものですし・・・。無理矢理くっつけた感がすさまじいです。
総合 83
序盤は主人公のヘタレとゆかのウザさでどうしようかと思いましたが、主人公の成長と仲間の加入に連れてどんどん面白くなっていきました。特に中盤から終盤までの展開はスピード感もあり、非常に楽しめました。終盤も真ボスの弱さ以外はよかったですし、エピローグは・・・正直微妙すぎですが、総合的に見てよく出来ている良作ゲームです。
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